
「モザイク国家」など、モザイクはごく日常の言葉として使われているが、この概念は明治時代に本格的に日本に入ってきた。しかし、その言葉を知る以前から私たちは、時を経た瓦葺きの屋根、石畳のある庭など、モザイクと見立てられる現象を無意識に美しいと感じている。それらは、ゆらぎや余白をもつモザイクとも言えるのではないだろうか。本書では、身のまわりにあるさまざまなモザイクの現象を迫力ある写真で紹介し、改めてモザイクとは何かを考え、同時にヨーロッパともイスラームとも違う、日本人にとって心地よいモザイクを探っていく。INAXライブミュージアムの同名の企画展にあわせて制作。
■目次
鳥瞰四千フィート──モザイクは地球を覆う 撮影=橋本文夫
見立てモザイク──これもモザイク、あれもモザイク 撮影=梶原敏英
言葉が「モザイク」 金田一秀穂
輝きの変遷──素材から見た「モザイク史」 浅野和生
「バラツキ」と「ゆらぎ」のあるモザイク──五千五百年前のモザイク壁復元から 後藤泰男
モザイク的思考の始まり 竹岡俊樹
モザイク日本上陸──日本の近代建築とモザイク 米山勇
ゆらぎモザイク誕生──東京国立博物館 ラウンジ内装物語 佐野由佳