
33歳で夭折した家具デザイナー・森谷延雄(1893-1927)は、わずか数年のうちに、研究、家具デザイン、執筆、教育など、驚くほど膨大な仕事を成し遂げました。本書では、室内装飾に独自の自由な表現を施した森谷の人間像を、彼が残した数々の言葉をクローズアップしながら、現存する希少な作品群をとおして浮かび上がらせます。ときとして酷評をあびながらも、家具をもって自らを表現し続けた森谷延雄のロマンティシズムを紹介する一冊。
■目次
□詩を奏でる室内への夢
──ねむり姫の寝室/鳥の書斎/朱の食堂
やわらかい夢に包まれた家具 小泉和子
理想主義的現実主義者──森谷延雄の孤独な革命 本橋浩介
□新しい家具普及への夢
──第1回日本工芸美術会展/松岡壽邸家具/京都帝国大学楽友会館/木のめ舎
□西洋家具史研究への夢
欧米留学中の家具史研究/『西洋美術史古代家具篇』
美と利用と経済と──「標準家具装飾メッセ」そして「木のめ舎」 敷田弘子
「木のめ舎」家具の復元・1枚の写真から 森谷延周
森谷延雄年譜
撮影=雨宮秀也