
表層化する都市や建築に対し、社会の第一線に立つ建築家が批評のまなざしを向ける。1970年代後半から現在まで、都市や建築がどう変容してきたか、そしてその変容がどんな意味をもつのかを記録する時評集。15年におよぶ『日刊建設通信』紙での連載を書籍化。
■目次
〈建築へ〉──序文
□1994
環境芸術──ダニー・カラバンの世界
緑化というプログラム
〈自然主義〉の背景
批評の可能性
時代の使命
〈マルチメディア〉の選択
同時並列的変化
公共空間へ
脱モダニズム
建築論の構築
イメージの構築
都市へのビジョン
近代建築をめぐる論争 上
近代建築をめぐる論争 下
「もの」、形態から空間へ
いま、総合化を問う理由
□1993
NPOの発想と期待
都市の視覚化
巧みなテイストとビジョン
建築がいま、期待するもの
象徴性の回復
消費する記号からの離脱
アジアの新時代を考える
家具の豊饒から建築へ
「情報社会」の新しい流れ
個別であることへ
地表のデザイン
ユートピア
□1992
グラスゴーから学ぶこと
イエメンへの旅
変容する建築の輪郭
ポンピドゥーのマニフェスト展
「歴史的都市」の再生
共生の哲学
「バランスの美学」と建築
二一世紀の都市像をめぐって
都市の構想力
内向するインテリア
商業主義と建築の復権
□1991
社会プログラムの変更へ
国際化としなやかな秩序を
新たな環境言語を求めて
パリの都市景観と立体性
テーマパークの中身
世紀末からなにを探せるか
都市開発の現実から考える
新しい「対話」のはじまり
パフォーマンス都市の魅力
□1990
ドイツ現代建築雑感
スペインの活力と建築事情
錬金術としての建築空間
「分類」の功罪
高度情報化社会の環境論
海外建築家への期待
都市の表情──上海の魅惑
コンピュータ社会新局面
変化する現実からの発想
建築の終焉を越えて
きれいだが〈批評〉がない
□1989
東京国際フォーラムその後
分断された経済的豊かさ
キットの建築
燃えるイギリスの主張
建築批評の日本的土壌
□1988
写真としての建築
SOMのポストモダン変身
「黒川反論」が問うたもの──関西国際空港コンペとJIA
さらなる建築論への期待
情報としてのキーワード
モダニズム再─再考
優しさの美学
□1987
商業建築に期待する
スケール感の喪失と都市
建築と倫理
メディア化する建築
「グラン・プロジェ」
モダニズムの復調
情報社会と構成主義
□1986
変貌する都市「東京」
維持することと持続させること
エキサイティング・アメリカ
シフトする建築デザイン
いま、建築はいずこへ
建築における文明史観の必要
□1985
オーバー・ゾーニング
もうひとつのポストモダン
イメージマップの都市像
C・アレグザンダーの矛盾
脱専門化とバランス感覚
映像化した都市
広告による建築の共有化
□1984
情報化社会と建築
都市のエンターテインメント
建築の冠(クラウン)
表と裏の理論
アメリカの建築を考える
□1983
「つくばセンタービル」
多様化のなかの新しい動き
マクロプロジェクトへの期待
方法としての保存と再生
意欲と関心の方向
□1982
経済学と建築の状況
建築表現と色彩
科学技術と変化の構造
建築と現代における一視点
都市論と記号学
□1981
「しるし」としての建築
現代都市と防御の建築
建築のもうひとつの場面
「都市論」への回帰
□1980
建築の装飾化と表現
ハンス・シャロンの建築
文化人類学の視点
□1979
イタリア合理主義建築の再生
ヨーロッパの新しい波
近代建築と巨大建築
建築のひとつの奇妙な現象
〈建築へ〉──モノローグ