
古い寺院などの軒下に見られる組物は、木造建築の深い軒を支えると同時に、それ自体が装飾要素として建物の表情を左右する。7世紀半ばに大陸から先進的な技術が導入されたのち、数百年かけて伝統様式のなかで定着していった組物に、日本建築の特質を見る。
■目次
序 建物を見上げよう
Ⅰ 奇妙な建築
醍醐寺金堂
Ⅱ 外部表現のための作為
慈照寺東求堂
Ⅲ 組物とその種類
組物とは
日本の組物
組物の種類
変種の組物の誕生
組物のランクと建築
Ⅳ 表現としての組物
組物独自の体系
三手先組物の限界
二手先組物の限界
模型の組物
平三斗・大斗肘木の可能性
Ⅴ 見せかけの虹梁鼻
室生寺金堂
Ⅵ 「虹梁鼻+肘木」型の発生
当麻寺本堂
長寿寺本堂
西明寺本堂
Ⅶ 出三斗の成立と形式化
西明寺本堂
長弓寺本堂
Ⅷ 内部表現のない組物
室生寺本堂
般若寺楼門
Ⅸ 「見せかけ」の組物の意味
組物の自由と限界