江戸時代後期、江戸の町では藍染めの着物と瀬戸産(愛知県)などの染付(呉須による絵付け)の食器が庶民に広く普及しました。「青と白」の取り合わせは粋でお洒落だという感覚が広がり、人びとにとってあこがれの対象となり、涼しさとみずみずしさの象徴となりました。
そのブームは明治時代に入ってからも続き、この頃に誕生した陶磁器製の便器にも「青と白」の装飾が施されるようになります。人目をはばかる空間だった便所を「青と白」で華やかに飾り、視覚的にも精神的にも清らかな空間としてしつらえようとした粋な人々からもてはやされ、染付便器は一世を風靡。芸術作品と呼べるほど華麗で装飾性豊かな逸品がつくられ、なかには銘が染付で入れられた特注のブランド便器までつくられました。
日本人の粋で典雅な美意識がこめられた、染付古便器をお楽しみください。
※画像をクリックすると詳細情報を表示します

- 染付霊芝(れいし)に扇図 角形大便器
- 瀬戸、明治時代後期、陶器製
29.3(h)×50.3(d)×27.1(w)cm

- 染付花図(菊と木槿〈むくげ〉) 小判形大便器
- 瀬戸、明治時代後期、磁器製
29.3(h)×53.2(d)×26.6(w)cm

- 染付朝顔図 朝顔形小便器
- 瀬戸、明治時代後期、磁器製
65.3(h)×27.3(径)cm

- 染付花と蝶図(牡丹と芭蕉) 向高『還情園池紋製』銘、六代加藤紋右衛門作
- 瀬戸、明治時代後期、磁器製
64.3(h)×32.2(径)cm

- 染付花図(牡丹) 厠下駄
- 瀬戸、明治時代後期、磁器製
15.4(h)×25.1(d)×16.1(w)cm

- 染付牡丹唐草文 小判形大便器
- 有田、明治30年(1897)頃、磁器製
27.1(h)×55.3(d)×26.2(w)cm

- 染付花図(牡丹) 朝顔形小便器『還情園池紋製』銘、六代加藤紋右衛門作
- 瀬戸、明時代後期、磁器製
66.0(h)×28.0(径)cm

- 青磁染付花と蝶図(牡丹) 向高
- 瀬戸、明治時代後期、磁器製
61.4(h)×31.7(径)cm